2025年10月20日月曜日

ショパンコンクール③

 熱烈応援中のビンセント・オンさんのファイナルの演奏素晴らしかったです!

聴こえるか聴こえないかのような微かな弱音から、力強く明確な響き渡るフォルテまで

ディナーミクの幅が広く、真綿のようなやわらかな音から鋭い決然とした音まで音色が豊で、決して感情に溺れずでも素晴らしく表情豊かで個性的でユニーク。

コンクールの結果に関わらず、ファンです!(^^)!

他にファイナルを聴いた中ではアメリカのウィリアム・ヤンさんにとても魅力を感じました。水の音のような優しい、でもクリアで力強い響きがとても魅力だと思います。

日本の進藤さんも熱演素晴らしかったですね。

桑原志織さんは最終奏者ですね。

長かったコンクールもいよいよ終盤、ドキドキします。

残りの奏者皆さんを心から応援したいです。


2025年10月16日木曜日

ショパンコンクール2025 ②

 ショパンコンクール2025、ファイナリスト11名が発表されました。

応援してるビンセント・オンさんが選ばれました!

嬉しいです!彼のコンチェルトが聴ける!楽しみです!(^^)!

日本からは桑原志織さんと進藤実優さんが選ばれました。

先日進藤さんの演奏も聴いてみましたが、一音一音から明確に音の感情が伝わってくるような素晴らしい演奏でした。バネのあるたっぷりとした肉厚の響きがとても魅力的だと思います。

牛田智大さん残念です!

3次までくるとどの演奏者も皆神様に選ばれたに違いない人たちの演奏でここからどうやって半分に絞るのだろうと思えてきます。

牛田さんの演奏も聴きましたが本当に真摯に音楽に向き合われていて気品のある素晴らしい演奏でした。

牛田さん含め他の本選に進めなかった演奏者の皆さんのこれまでの真剣な並々ならぬ努力を思うと胸が痛みます。

コンクールの結果に関わらず皆さん確実にそれぞれの個性を持った超一流の演奏家であることは間違いないと思います。


明日からの本選、幻想ポロネーズとコンチェルト皆さんの演奏が楽しみです!(^^)!

2025年10月14日火曜日

ショパンコンクール2025

 連日YouTubeのショパンコンクールの配信に胸を熱くしています。

時間に追われて中々落ち着いてじっくり聴くことができず、ファーストステージでは偶然に任せて画面に出てきた演奏者をいろいろ聴いていたのですが、その中でヴィンセント・オンさんの演奏にとても惹かれました。

落ち着いたテンポで透明感と雄大さがあり、私はクレンペラーという指揮者がとても好きなのですが少し彼の音楽を思いだしました。

繊細でありながらくっきり、すっきりした音が私にとってとても心地よくとにかくずっと聴いていたくなる演奏でした。他の参加者に比べ派手ではないので2次に進めるかはよくわからなかったのですが、2次に進んでくれました!(^^)!

そして2次の演奏がまた本当に素晴らしかったです!

1次の時より力強さが増してそのカッコよさに胸が熱くなりました。感情に走りすぎず、激しさではなく力強さという感じ。個人的に私は、あまりセンシティブであったり激しかったりする演奏を聴くとつらくなってしまいがちなのですが、彼の演奏にはそれがなく安定した気持ちで聴いていられます。

大好きなプレリュードの24番は本当にうまい!!何度も聴いてしまっています。

3次進出本当にうれしいです!

他の演奏者で聴けた中では日本の桑原詩織さんと中国の16歳のティエンヤオ・リュウさんがやっぱりすばらしいと思いました。

桑原さんの演奏は、演奏が始まると周りの空気が一気にショパンになる感じですね。ショパンの空気に包まれて溶け込んでいける快感があると思います。

リュウさんは本当に生き生きしてのびのびと聴く人を色々なことから解放してくれる感じ。

まだまだ牛田智大さんの演奏など聴けていないので、さらに家事の手を抜いて時間を作っていこうと思っています!(^^)!

2025年10月12日日曜日

合唱コンクール

 学校によって色々ですが多くの中学高校で合唱コンクールの季節ですね。

教室でも2人の生徒さんが中学校の合唱コンクールに向けて伴奏の練習に取り組んでいます。

いつも思うのですが、合唱コンの伴奏となるとみんな本気度がちがってきます(^^)

比較的普段の練習や発表会でさえのんびり気味の生徒さんでも、合唱コンの伴奏となると覚醒したように練習に気合が入ってきます。

思うに、生徒さんたちにとって学校は今現在生きている社会そのものであり、演奏のでき如何は、大げさにいえば社会生活での自分の存続がかかっているのではないかと思います。平素の練習とはモチベーションが断然違うんだと思います。

何十人というクラスの皆の歌を支え、リードし、ノーミスで弾かなければならないという重圧にも負けず果敢に伴奏者に立候補するその姿勢は尊敬に値すると思います。

本番に向けて一つの曲を弾きこむことによって平素のんびり気味の生徒さんはまず音が違ってきます。貫禄のあるよく響く音になり、並行して取り組んでいる他の曲も見違えるように上達してきます。

合唱コンの力ってすごいです。生徒の皆さんつくづく学校で一生懸命生きているんだなあと感じます。

何年か前、高校で合唱コンの伴奏を任された生徒さんがあり、その生徒さんはクラスで他に弾ける人がいなくてどうしてもと頼まれたようなのですが、その時の曲はかなりの難曲で、その生徒さんにとってはとてもハードルの高い曲でした。あまりにも難しすぎるので、何とか他の人を探してもらうことはできないか聞いてもらったりしましたが、やはり他にいないようでその生徒さんも受けるしかないようでした。じゃあもうやるしかないということで、本当に本当にその生徒さんは頑張りました。とてもまじめで学校の試験勉強なども真剣に取り組んで学校で上位に入るような生徒さんでしたが、本番近くではその試験勉強も犠牲にして練習に取り組んでいました。みていると気の毒になって、自分の学校の生徒にここまでさせてしまう学校に対して物申したいような気持でした。けれど生徒さんは本当によく頑張って本番までになんとか形にすることができましたが、それでもまだ不安の残る状態でした。

本番の日、演奏の動画をスマホに送信してもらってドキドキしながら見たのですが、ミスもなく今までで一番よく弾けていました。すごいと思いました。それまでの努力と本番での度胸と集中力に心から感心しました。

動画の後半画面がかなり揺れていたのですが、後で聞くと撮影されていたお母様が感動で大泣きしていて揺れていたそうです。お母様は弾けないだろうと思っておられたそうです。追い詰められながらひたすら努力している我が子を間近で見守ってこられたお母様のお気持ちは察するに余りあるものがありました。

忘れられない思い出です。

ドラマがいっぱいの合唱コンの伴奏、今年も本番が楽しみです!(^^)!



2025年3月29日土曜日

2025春の発表会

 先日3月20日、広島流川教会にて2025春の発表会を開催しました(^^)

出演生徒数は18名、連弾やソロ演奏でファミリーコーナーにご出演くださったお母様、お父様9名様の合わせて25名の参加となりました。

今回も生徒の皆さんそれぞれ思い思いの好きな曲を選び、こつこつ取り組んで来ました。

ときめきや夢を持って弾きたい曲を選び練習を始めますが、曲を仕上げるには本当にこつこつ、たくさんの時間や努力が必要になってきますので、そこはやっぱり、山あり谷あり。

え、間に合う?っという過程はそこそこの数の生徒さんたちが経ることとなり、発表会前は私も怒涛の日々を送ることになるのですが、本当にいつもすごいのは本番では皆今までで一番といえるような集中した良い演奏をすることです。そんな底力を持っていたんだね、といつも感心させられます。

ホールをお借りしている流川教会にはホールの他に別室に2台のピアノがあり練習用にそちらもお借りしているのですが、リハーサルが済んだ生徒さんたちは皆空いているピアノを探して最後の調整に一生懸命で、それぞれの本番への強い思いを感じました。

初めての発表会の生徒さんたちも3名いて保護者の方もご心配のご様子でしたが、みんな楽しそうにりっぱな演奏でした(^^♪

ベテランの生徒さんたちは本当にベテランらしく、曲の表現力や音色の表現力に磨きがかかってきて、小さかった生徒さんたちがここまで成長してくれたと思うと本当に心から嬉しくなりました。

演奏時間数分の曲ですがそれにかかる準備の時間は本当に膨大です。そしてその曲の準備にかかった期間だけでなく、その曲を弾けるようになるまでにかけた期間が本当のその曲の準備期間と言えると思います。ピアノを始めてこれまでこつこつ練習を続けてきたたくさんの年数がその曲の本当の準備期間ですね。そう思うと本番の数分間というのは本当に大切な宝物のような数分間ですね。

また今回も連弾やソロ演奏でファミリーコーナーにご参加くださったお母様、お父様に心から感謝でいっぱいです。

曲の選曲の時から皆さん本当に思いのこもった曲を選曲してくださって、心を込めて演奏してくださいました。本当に気持ちが伝わってくる素敵な演奏をしてくださいました。

誠実に伝えたい思いを持ってファミリーコーナーにご参加くださるそのお気持ちが本当にありがたく心のそこから嬉しいです。

生徒さんが高学年になってくると演奏する曲も難しくなってきてお母様のパートも難しくなり、練習時間などの負担も増えてきていると思います。お仕事をされて家事をされてまた、お子様の練習のサポートをされての本当にお忙しい合間の時間を割いて取り組んでいただけることに本当に頭が下がり、感謝で一杯です。

たくさんのご家庭のたくさんの年月と思いがギュッと詰まった演奏会、感動がいっぱいでした。

本当にありがとうございました!(^^)!

           プログラム冊子表紙

           プログラム冊子裏表紙





2024年3月14日木曜日

ときめき

寒い日が続いた3月ですがようやく、暖かくなってきましたね🌸

空が青く澄んで太陽の光が明るく照っていると心も晴れやかになります(^^♪

バスティンの教材の中にショパンの幻想即興曲のゆったり歌う部分を抜粋した曲があります。それを弾いてきてくれたSちゃん。弾いている様子からこの曲を好きなことが伝わってきます。気持ちよさそうに体が歌っていて、Sちゃんのこの曲に対するときめきが伝わってきます。こういう時のアドバイスはとても吸収がいいです。最初の2分音符を弾きながら伸びていくのを感じてというとすっと理解し音が変身しました。最後に連弾した後はとても満足そうなうれしそうな笑顔でした!(^^)!

この笑顔は私にとって本当にごちそうです。

すごくうれしい(*^-^*)

生徒さんたちが好きな曲にときめいている様子や、それが弾けたときの嬉しそうな様子を見るのはピアノ講師としての最大の喜びです。

生徒さんたちに少しでも多く音楽にときめいて弾ける喜びを感じてほしい、それが一番の願いです。

2024年3月5日火曜日

成長の形



 


一昨年、葉っぱだけの苗の状態で購入したクリスマスローズがやっと開花しました!(^^)!
今花を付けている茎の新芽が出始めたのが一か月ちょっと前でそこから急に伸びて急に咲いたという感じです。それまではひたすら購入時の葉のままほぼ変化なく、2年間過ごしてきました。
目に見えない根っこの部分で成長していたんだなあとしみじみ感じました。
生徒さんたちの成長を振り返ると本当に一緒だなあと思います。
それぞれ個性があって成長の仕方も様々ですが、どんな生徒さんにも必ずこのクリスマスローズのような、ある時急にボンっと成長する時があります。
今まで苦労していたことが楽々できるようになりまさに花開く感じ(^^)
ずっと横ばいに感じられる状態もそれは目に見えている部分がそうであるだけで根っこの部分は着々と成長を積み重ねていたことを強く感じられる瞬間です。
子供たちの生命力を感じる瞬間です。
だからあせらず、コツコツ楽しくひたすら日々のレッスンを重ねていきたいです。

2024年2月27日火曜日

イメージスイッチ

 ブルグミュラーの天使の声を練習中のhちゃん。

先週、「まだ音をよく把握していないところがあるから、もう少し確実にしてきてね」と言ってしまったからか、弾き方が音を確認しながら確実に弾くことに集中している感じ。

この生徒さんはいつもほんの少しイメージのヒントになるようなアドバイスをすると、急にスイッチが入って音楽が歌でいっぱいになり、弾く時の体の動きも断然違ってくる生徒さんです。それで、今回も「ずっしり弾きすぎないで鍵盤とハンマーのすきまに少し空気を残すようなイメージできれいな音をねらってみて」などほんの少し曲のイメージをアドバイスすると、2回目の演奏はさっきとは打って変わって曲の世界に入り込み体の動きも音楽の波に乗っている感じ。素敵な演奏でした。さすがです。

hちゃんを見ているといつも音楽のイメージの力をつくづく感じさせられます。

他の生徒たちもこのイメージスイッチが入ることで演奏が大変身することがしばしばです。

細かいデュナーミクなどもイメージ一つで自動的に素晴らしくできてしまったりします。

音楽自身が自分から動き出すような感じですね。

自分で演奏するときももちろんそうですね。頭の中が音楽のイメージで満たされて浸りきれるとき本当に幸せです。

ともすれば楽譜の読み方や指使いなどに一生懸命になりすぎてこのもっとも大事なことを忘れてしまいがちになりますが、一回のレッスンで必ず一度は音楽のイメージで生徒さんが楽しめるよう心掛けたいと思います。


2024年2月21日水曜日

萌えポイント

 GReeeeNのキセキを練習中のTちゃんは毎回曲中のある個所にくると「ここ好き」と言ってそこを何回か味わうように弾いてはこちらを向いてにこっとしてくれます。その個所はほんの四分音符1拍分の箇所ですが、たしかに流れを少し変えるような何とも言えないコードが絶妙に登場している箇所で、「ほんとだあ、いいねえ、そこ」といつも激しく同意しています。

Tちゃんは今の曲以外でもよく、ここが好きと曲のほんの1拍分の萌えポイントをみつけては教えてくれ、また曲以外でも「先生何色がすき?○○は紫が好き。紫っていってもこういうのじゃなくてこういう薄い感じの。」などなどぐっとくるものをよく教えてくれます。

そして私はそんなTちゃんのすてきな感性にいつもぐっときています。

ありますよね、何とも言えず心を奪われる萌えポイント。

私もこどものころオリーブの首飾りという曲が好きで覚えているメロディに伴奏を適当につけてよく弾いていましたが、何とも言えず好きなコードがあり、この世にはどうしてこんなにすてきなものがあるんだろうと不思議な感覚を覚えていました。

何年か前ですが生徒のお母さまも萌えポイントを教えてくださったことがありました。お子さんが発表会で弾くベートーベンのロンドの中の2小節分くらいの箇所を「ここがすっごい好きなんです」とおっしゃって、たしかに心がすうっとするような優しい満ち足りたような2小節でそのときのお母さまの感性にもすごく感激しました。

音楽に喜びを感じている仲間同士という気持ちになれてとてもうれしくなります。

だから、レッスンではいつもそれぞれがそれぞれの尊い感性を持っていることを忘れないでいたいと思います。自分の感性を押し付けず、生徒自身が自分の感性を持って音楽を楽しめるようにといつも願っています。


2024年2月7日水曜日

いいよ、うつっても

長い間続いたコロナ禍の制限があけ日常が戻ってだいぶ経ちました。
コロナ自体はなくなったわけではなくむしろ日常化しているという感じですが、生活を普段通り送れるというのはありがたいことですね。
制限が厳しいころは教室でも本当に神経を使っていました。
そんな大変な頃の出来事です。

ある生徒のレッスン中に他の生徒のお母さまから、携帯のLineに連絡が入り、ちらっとコロナという文字が目に入ったので生徒に「ちょっと急ぎかもしれないからごめんね」と断ってLineを読むと数日前にレッスンに来ていた生徒が検査の結果コロナ陽性だったとのことでした。
ということは、もしかしたら私自身がその時感染してウィルスを保持している可能性があるということです。何の症状もなく元気でしたのでかなり可能性は低いとは思いましたが、レッスン中だった生徒に「もしかして、先生お友達のコロナがうつっていてコロナかもしれんけ、帰ったらよくうがいしとってね、ちょっとあんま先生にあたらんようにしといて。ごめんねもしかしてうつしたら」と言いました。
するとその生徒はのんびりした様子で「いいよ、うつっても」と言うのです。
「え、いいん、うつっても、なんで」というと、その生徒は、以前従妹からコロナ感染したことがあり、近々また従妹に会う予定があったことから、自分が感染したら今度は自分が従妹にコロナをうつすしておあいこになるからといって少し楽しそうでした。悪意など全くなく従妹同士のじゃれあいを楽しんでいるほんわかした話ぶりでした。

いやいやいけないんだよ、伝染ったら、どんなことになるかわからないから、本当はそうなんです。
子供らしい他愛のなさから発っせられた言葉であり、本当はこちらが危険を忘れてはいけないのはよくわかっています。

でも「いいよ、うつっても」という言葉を聞いた途端、自分の心がほーっとゆるむのを感じないではいられませんでした。
都会の喧騒のなか人ごみを必死にかき分けて歩いていたところから、急に緑豊かな山里にワープしたような感覚でした。やわらかい土の感触や草木の匂い、優しい風、広々とした空間、山里のそんな温かい優しさをその一言が運んできてくれた感じでした。

本当は感染してはいけないという現実はおいといて、レッスン中にほわんとしたその優しい空気を運んできてくれる子供たちの力はやっぱり素敵だと思います。

日々生徒たちからいろんなプレゼントをもらってるなあとつくづく思います。
感謝の日々です。

2024年1月10日水曜日

インターネット

今さらですが、音楽環境においてインターネットの普及による恩恵は、はかり知れないものがありますね。どんなジャンルの音楽もどんな演奏家の音楽も気になるものを検索すれば必ずと言っていいほど希望通りの音楽を探し当て聴くことができる。今や当たり前のこととなっていますがほんの十数年前までは違っていました。

知りたい曲や聴きたい演奏があるとCDを購入して聴くというのが主流でしたので、楽器店やCDショップの視聴コーナーに様々なCDを運び込んで店員さんの視線を感じながら長時間ヘッドホンを離さず大枚を支払うたった一枚を徹底的に吟味したものです。二十数年前となるとさらに違い、何年とは言いませんが私の子ども時代になってくると今とは全く別世界でした。

よほど経済力があり音楽に理解のある家庭であればレコードなどでいろいろな音楽に触れる機会があったかも知れませんが、一般的な家庭であれば音楽の媒体はテレビかラジオでした。私の育った家庭でもでもクラシック音楽など全く縁遠い環境でしたので私がクラシック音楽に触れることができるのは主にNHKのクラシック音楽番組のみという状況でした。他の番組を観たがる家族を抑え込みテレビのチャンネル権を獲得しやっと観ることができる(聴くことができる)ピアニストの演奏。ただただ自分の拙い演奏との差に呆然としたものです。ショパンコンクールの番組が放送されたときは釘付けになり、放送をカセットテープの外部録音で録音し、家族の生活の声が入ったファイナリストたちのピアノ演奏を夜な夜な胸をときめかせて聴いていました。高校生の時に音楽の先生から頂いたクラシックピアノのレコードを録音したカセットテープを聴いてショパンの幻想即興曲やモーツァルトのトルコ行進曲にどれほど感激したことでしょう。

本当に何もなくて何も知らなかった時代です。聴きたいものが無尽蔵と言っていいほどに自由に聴ける現在をニューヨークのビル街とすると、当時の状況は見渡す限り大地の荒野にところどころ木やオアシスなどがあるような感じでしょうか。でもそのところどころにしかない木やオアシスが限りなく輝いて見えていました。まだ自分の知らない音楽の世界を知りたくて知りたくてしかたなく身を焦がすような思いでした。

だから知りたい曲聴きたい曲が自由に聴ける今の音楽環境はまさにパラダイスです。桃源郷です。ウハウハです。

なんでも自由に聴け過ぎて音楽のありがたみがわからない、身を焦がすような憧れを感じられないという一面も確かにあると思います。でもインターネットによる今の環境がなければ私はブルックナーのシンフォニーを聴けないままかも知らず、往年の素晴らしい歌手や識者やピアニストたちの演奏を聴けにままかも知れなかったと思うとやはりインターネット普及による今の音楽環境に心から感謝しないではいられないのです。

そしてコロナ禍による制限が明けた今、個人的にですが、デバイスの演奏に飽き足らず、生演奏が聴きたくて仕方なく、いつでも好き放題シンフォニーやピアノ演奏やオペラなど生演奏が聴ける環境を夢見ている今日この頃です。

2022年12月22日木曜日

音楽のちから

バッハの好きな曲を聴いていると日常とは次元の違う世界へ連れていかれることがあります。

私の場合特に宗教曲などだとその別世界度は強まります。

もちろん、バッハの音楽だけに限らずあらゆる曲で体験することですが、

自分の周りの家事やその他の雑事諸々で脳内がさんざめいているところへ音楽が流れ込んできて、別次元へ、深く高く強く敬虔な生命の状態へ連れて行ってくれます。

音楽を聴かなければ体験できない状態ですが、その魂は自分と切り離された音楽の中に存在しているのではなく、もともと自分の中に存在しているものだと感じています。

懐かしく「ただいま」と言って本来の場所に戻ってきた感覚があります。

個々人が持っている本来の深い魂の扉を開くということ、音楽の力とはこれだと感じます。

ピアノを指導していくうえで、年齢が低い場合は特に、できなかったことができるようになること、などの喜びに意識が向きがちでそれはそれで大切にしたいことですが、この、「音楽によってその生徒それぞれの心の扉を開いていく」というもっとも大切な目的を忘れないようにしたいと思います。


2022年11月16日水曜日

命のきらめき

先日家事をしながら、YouTubeの本要約チャンネルを聴いていると、「もしも一年後、この世にいないとしたら。」という題の本の解説をやっており、興味深い内容でした。

早速一年後自分がこの世にいないとしたら、本当に心からやりたいことは何だろうとあれこれ考えていると、子供のころからいつも、果てしなく広い草原で風に吹かれるという光景を思い浮かべて憧れていたことを思い出しました。日々のいろいろな出来事や雑事に追われていつの間にか意識の底の方に埋もれてしまっていた憧憬ですが、わざわざ広い草原に憧れるまでもなくそこそこの、いやかなりの田舎で暮らしていた当時の自分でさえ、さらなる広大な自然を希求していたことを思うと、自分の中の生命がどれだけ自然を求めているかということに改めて思い至ったのであります。

果てしなく広がる草原に地球の広大さを感じながら風に吹かれたい、走り回りたい、大自然に自分の生命を開放したい、命のきらめきを感じたい、ある意味では自分が生まれてきた意味がその憧憬に凝縮されている気がします。

とはいえ住んでいる団地周辺に大草原など望むべくもなく、仕方がないので、ピアノに向かって、大草原で風に吹かれる自分を思い浮かべつつメンデルスゾーンの大好きな曲を弾いてみると…ああ!

風が吹き、光が差し、温かい人の声が聞こえ…etc.

命のきらめきが花火のように、ぱちぱちと弾けます。

音楽の中では、自分の体験したいように感情を体験し、命を開放できることを改めて認識した出来事でありました(^^)

レッスンでもいつも生徒さんたちにこの、感情を体験する喜び、命が喜ぶ瞬間を届けられるよう心掛けたいと思います。