2024年2月7日水曜日

いいよ、うつっても

長い間続いたコロナ禍の制限があけ日常が戻ってだいぶ経ちました。
コロナ自体はなくなったわけではなくむしろ日常化しているという感じですが、生活を普段通り送れるというのはありがたいことですね。
制限が厳しいころは教室でも本当に神経を使っていました。
そんな大変な頃の出来事です。

ある生徒のレッスン中に他の生徒のお母さまから、携帯のLineに連絡が入り、ちらっとコロナという文字が目に入ったので生徒に「ちょっと急ぎかもしれないからごめんね」と断ってLineを読むと数日前にレッスンに来ていた生徒が検査の結果コロナ陽性だったとのことでした。
ということは、もしかしたら私自身がその時感染してウィルスを保持している可能性があるということです。何の症状もなく元気でしたのでかなり可能性は低いとは思いましたが、レッスン中だった生徒に「もしかして、先生お友達のコロナがうつっていてコロナかもしれんけ、帰ったらよくうがいしとってね、ちょっとあんま先生にあたらんようにしといて。ごめんねもしかしてうつしたら」と言いました。
するとその生徒はのんびりした様子で「いいよ、うつっても」と言うのです。
「え、いいん、うつっても、なんで」というと、その生徒は、以前従妹からコロナ感染したことがあり、近々また従妹に会う予定があったことから、自分が感染したら今度は自分が従妹にコロナをうつすしておあいこになるからといって少し楽しそうでした。悪意など全くなく従妹同士のじゃれあいを楽しんでいるほんわかした話ぶりでした。

いやいやいけないんだよ、伝染ったら、どんなことになるかわからないから、本当はそうなんです。
子供らしい他愛のなさから発っせられた言葉であり、本当はこちらが危険を忘れてはいけないのはよくわかっています。

でも「いいよ、うつっても」という言葉を聞いた途端、自分の心がほーっとゆるむのを感じないではいられませんでした。
都会の喧騒のなか人ごみを必死にかき分けて歩いていたところから、急に緑豊かな山里にワープしたような感覚でした。やわらかい土の感触や草木の匂い、優しい風、広々とした空間、山里のそんな温かい優しさをその一言が運んできてくれた感じでした。

本当は感染してはいけないという現実はおいといて、レッスン中にほわんとしたその優しい空気を運んできてくれる子供たちの力はやっぱり素敵だと思います。

日々生徒たちからいろんなプレゼントをもらってるなあとつくづく思います。
感謝の日々です。

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